2010年12月1日水曜日

鈴木稔さんのうつわ



鈴木稔さんのうつわは、モダンなフォルムで、でもどことなくあたたかい印象。
そして、きれいに肌に添って流れた釉薬や、たくさんの絵の具が重なり 合っているような
なんともいえない複雑な色味に惹きつけられる。

表情豊かなそれらのうつわは、
益子の土と伝統釉を使い、石膏型で作られ、
登り窯で焼成することで、1つとして同じ表情のない複雑な色味になる。



『型』というと、工業的にたくさん作れるようなイメージがあるように思われるが、
板状にした粘土を型に貼り付け合わせて作る為、
ろくろでひくよりも時間や手間もかかるそう。

型の原型作りもほとんどろくろを使わず、手の中で形作っている。
型ではあるが、その中に表れる自然なゆがみに
あたたかみを感じてもらえたら、と鈴木さん。

手に持つと、手の中にすっぽりとなじむ感じが、
なんともほっとるすような安心感があって心地よい。



実際、工房でひとつひとつていねいに型に貼り付け、
合わせていく作業の様子は、「手仕事」といった印象だった。






一般的に益子で今まで登り窯で焼成されていたものの多くは、
薪で焼成される為、 その灰や炎の影響を受けないよう「サヤ」と呼ばれる
入れ物に品物を入れて焼成するというものだったが、
鈴木さんは、逆に炎や灰の影響を受けやすくするよう窯の天井を低くし、
直接品物に灰や炎があたるようにしている。
それらが、うつわに複雑な表情を作っている。



「型」という同じものをいくつも作れる道具を使い、同じ釉を施しても、
窯からでてくるうつわたちはどれも違う表情。

1つのうつわの中にも前から見た表情、後ろから見た表情が違って楽しい。



益子でずっと使われている土や釉にこだわりつつも、
『今』、や『これから』、を意識し、あたたかみの中に、
常に挑戦しているようにも感じられる鈴木さんの器。

いろいろなものがたくさんあるが、この鈴木さんのように
益子焼にしても、その他すでに身の回りにあるものにしても、
まだ『これから』の可能性がたくさんあるように感じた。